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3月18日(金)・・・自宅か、避難か 「30キロライン」またぐ福島の田村市

福島第一原発の西に位置する福島県田村市。原発事故で避難指示が出た半径20キロ圏、屋内退避が指示された20~30キロ圏、何も指示が出ていない30キロ圏外の三つの区域に分かれている。家に残っても安全なのか、それとも避難すべきか――。「30キロライン」の近くに住む人たちは揺れている。

 35キロ付近に住む食料品店主の田中寛さん(66)は17日も営業を続けた。「いま店を閉めるわけにはいかない」。店には連日、客が押し寄せる。震災前のような品ぞろえはできないが、この日も郡山市内の市場からキャベツやニラ、サンマの缶詰、カップめんを仕入れてきた。

 「ここで、どれぐらいの放射性物質が検出されているのか。正確にわかれば安心なのに」。30キロの線は「目と鼻の先」。母と妻は郡山市の長女宅に避難させた。自分も本当はもっと原発から遠ざかった方がいいと感じている。それでも「世話になった地元。(避難)指示が出るまで残り、お客さんのために食料を確保したい」と思う。

 40キロ付近で独り暮らしをしている女性(81)も今のところ、遠くへ避難するつもりはない。「30年暮らす家を離れたくない。原発のことを考えたらきりがないから、考えないようにしている」

 「30キロと言われても、線が引かれているわけではない。何を信じていいのか」。33キロ付近に住む主婦(56)は不安を募らせる。勤務先も30キロ圏の外にあるが、会社からは「勤務を続けるかは自分で決めて」と言われ、ひとまず屋内退避することにした。

 運送業の男性(54)も「危ない」と感じ、33キロ付近の家からの外出を極力控えている。とはいえ、自宅近くに住む父母の介護などがあるため、「まったく出ないわけにはいかない」と言う。
一方、33キロ付近に自宅がある石井洋子さん(68)は16日、住み慣れた家を離れると決めた。「放射性物質は目に見えないから気になります。気持ちが悪い」。親類に迎えに来てもらい、兄弟のいる栃木県那須塩原市に身を寄せる予定という。

 原発事故は小中学校の再開にも影響を与えている。

 田村市教委は、屋内退避を指示された地域の外にある小中22校について、22日から授業を再開する方針だった。しかし、17日に改めて話し合い、「放射性物質のリスクがぬぐいきれない」として休校を当面続けることにした。

 市教委の担当者は「30キロの線上にバリアがあるわけではなく、数キロ外側だからといって市民は安心できない」と話す。(釆沢嘉高、小島寛明)
by nsmrsts024 | 2011-03-18 05:53 | 朝日新聞・綜合、政治

千年に一度の巨大津波と原発事故による核災害


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