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3月26日(土)・・・小さき思い、絵にぶつける 希望、現状…被災の子が描く


千葉和樹くんが描いた絵。いまは学校の窓ガラスに張られている=気仙沼市唐桑町の小原木小学校

海に茶色い太陽が描かれた絵。家を津波で流された女の子が描いたという=仙台市若林区の七郷小学校

阿部智大くんが描いたショッピングセンター。津波で運ばれた漁網や浮きが絡みついている
 被災地で、子どもたちが白い紙に向かう。震災、津波、避難生活と過酷な出来事が続くなか、つらい気持ちをうまく外に出せない子どもも多いとみられる。それぞれの小さな胸の内を絵にぶつけている。

 魚が泳ぐ青い海を茶色い太陽が照らす。津波で家を失い、避難所で暮らす幼稚園児の女の子が描いた絵だ。「波ってどうやって描くの」としきりに聞いていたという。

 避難所となっている仙台市若林区の七郷小学校で24日までの約1週間、国際支援NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が紙と色鉛筆を用意し、「遊び場」を開いた。

 目立ったのは、海や波の絵。海の底に2人の人が立っていて、海中に四角く黒い物体が漂っているような作品もあった。職員の西口祐子さん(30)は「不安を抱えた様子の子どもには、大丈夫だよ、安心していいよと声をかけている。絵を描くことで少しずつ明るくなっていく児童も多い」と話した。

 避難先や自宅で、自らペンや鉛筆を握る子どももいる。

 宮城県気仙沼市の千葉和樹くん(10)は、米軍のヘリコプターが、自分が通う小学校の校庭に降りてきて物資を下ろす場面を描いた。涙を流しながら受け取って喜ぶ避難者の姿に「みんなで協力 気仙沼!」という文字も入れた。

 母親のゆりかさん(33)が、震災後の盗難に注意するよう呼びかけるポスターを見て、「明るい気持ちになれるものを描こうよ」と促した。

 和樹くんはもともと絵が大好き。家が流されて画用紙もなくなってしまったので、包装紙の裏に描いた。「最初はがれきとか、地震の絵を描こうと思った」というが、明るい題材に変えた。

 同県南三陸町の中学1年生、阿部智大くん(13)は、崩れかけた建物がぽつりぽつりと並ぶ志津川地区を自転車で回り、夢中で鉛筆を握る。24日には、ガラスが割れ、漁網や浮きが絡みついたショッピングセンターを写生した。

卒業式の準備をしていた中学校で地震に遭った。津波は、教室の窓から「濁った水たまりのようなもの」を見ただけ。学校で一晩を過ごし、翌日、高台から見た街は、あまりに悲惨で、どう表現していいのかわからなかった。

 「これからどうなるの」。家族や友人は無事だったが、電気も水も来ない自宅で不安な気持ちになった。津波に負けずに残った建物を、絵にすることに決めた。

 鉛筆1本で描いた場所は、いずれも思い出の地だ。海に近い松原公園の機関車は、友達や弟と遊んだ場所。ショッピングセンターには、好きな図鑑を読んだ本屋があった。昔の光景がよみがえり、つらい気持ちになる。けれど、多くの風景を紙に記録したい。「街がよみがえったときに、こんなことがあったんだよと、人々に伝えたいから」(一色涼、高野裕介、山本奈朱香)
by nsmrsts024 | 2011-03-26 19:37 | 朝日新聞・綜合、政治

千年に一度の巨大津波と原発事故による核災害


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