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4月23日(土)・・・震災後の世界の話をしよう サンデル教授が白熱議論

東日本大震災後の世界のあり方をめぐって、対話型講座「正義」のテレビ放送や著書が爆発的人気となった米ハーバード大学のマイケル・サンデル教授(58)が22日、同大の学生主催のシンポジウムで、参加者と議論を交わした。震災で生まれた日本への共感は、国境や文化を超えた共同体意識が芽生えるきっかけになる――そう訴える教授に、参加者はそれぞれの意見をぶつけた。  サンデル教授はまず、日本へのかつてない共感を広げた東日本大震災で、国境や文化を超えて、他者の痛みや喜びを自分のことのように共有する「世界市民」の意識が生まれるだろうかと問いかけた。答えは「共感だけでは変わらない。私たちが他者と持続的なかかわりを築くことができるかにかかっている」。そのためには、他者と開かれた対話を続け、コミュニケーションを深めることが最も重要だと強調した。

 「世界市民という考えに感動した」という女性には、自分の支持する政治哲学は「論理と理性」と「共感的理解」を分けるものではなく、双方を含んだものと説明。世界中の人々が共同体の意識を深めるための議論も、感情や情熱と理性を切り離す必要はなく、むしろそれらを反映しながら、公の場で堂々と議論すべきだと提案した。

 ある男性は、推定で23万人超が死亡した2010年のハイチ大地震と、28万人以上の死者を出した04年のインド洋大津波に言及し、「東日本大震災よりひどい災害。これらの災害と東日本大震災の間に違いはあるのか」と質問。暗に東日本大震災の「特別扱い」を批判し、「世界市民」意識の発展の可能性にも疑問を呈した。

 「災害は災害」と切り出したサンデル教授は、「ただ、それぞれの災害からどういう意味を見いだすかについて、私たちはまだ答えを出せていない。どれだけ多く亡くなったかは答えにならない。どういう答えを出すかは、私たちにかかっている」と慎重に言葉を選んだ。
主催者の1人、ハーバード大4年の久間木(くまき)宏子さん(22)は福島市で生まれ、仙台市で育った。「3月11日からずっと震災ニュースにくぎ付けで、何もできないもどかしさ、悔しさ、申し訳なさの中で過ごしてきた。シンポの成功はハーバード大学全体が応援してくれたから。被災地の状況を気にかけているという皆の思いを届けたかった」と語った。(ケンブリッジ=春日芳晃)
by nsmrsts024 | 2011-04-23 20:50 | 朝日新聞・綜合、政治

千年に一度の巨大津波と原発事故による核災害


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