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4月27日(水)・・・水田の除塩完了に3年 2万ヘクタール 国が9割補助

 東日本大震災の津波で被害を受けた農地について、農林水産省は3年後の完了をめどに改良を進める方針を固めた。約2万ヘクタールの水田でがれきの撤去や土中の塩分を取り除く(除塩)作業が必要で、大半の水田では2013年分まで作付けが困難になる。政府は26日、除塩事業で国が9割を補助する特例法案を閣議決定した。

 農水省は人工衛星の画像をもとに3月末、津波によって流失か冠水した農地の面積を推定。太平洋側の東北・関東6県で計2万3600ヘクタール(東京ドーム5千個分)にのぼり、うち約2万ヘクタールが水田だった。

 宮城県は全体の3分の2の約1万5千ヘクタール。耕地に対する被害面積の割合でみると、七ケ浜町(93%)や亘理町(79%)などで特に被害が深刻だった。

 海水で農地が冠水すると、土壌中の過剰な塩分で植物が枯死、根腐れする塩害が発生する。防ぐにはがれきを除去し、用水・排水路を復旧させたうえで除塩する必要がある。鹿野道彦農水相は26日の記者会見で「やはり年単位になる。3年というのが一つのめどという考え方を持っている」と述べた。

 農水省によると、除塩作業では、石灰をまいて土中のナトリウムを吸着させ、真水や雨水を浸透させて洗い流す。排水を促進する地下排水溝の施工や排水施設整備が前提となる。

 農水省が参考としているのは、1999年9月の台風18号で高潮被害を受けた熊本県八代市周辺での除塩実績だ。排水設備を整備し、湛水(たんすい)後に排水する作業を水田ごとに1~2回ずつ実施。全体として3~5カ月程度で終わり、翌年の作付けが可能となった。

 イネの作付けには水田の土壌の塩分濃度を重量比で0.1%以下とする必要があるが、東日本大震災の被害は甚大で、大半の被害農地で濃度が測定できていない。震災から1カ月以上たった現在も冠水している水田も多い。塩分が高濃度の場合、湛水と排水の作業を繰り返す必要があり、数カ月以上に及ぶ。

一方で、塩害や排水施設の被害状況は場所によって程度が大きく異なる。農水省は「ごくわずかな地区で来季に作付けできる可能性はあるが、全体としては3年で復旧できるように努力したい」としている。

 この日閣議決定されたのは「東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案」。土地改良法になかった除塩事業を法で規定し、国の補助率をかさ上げする。区画整理の手続きも簡素化して農地の集約化を進める。

 福島第一原発周辺の放射能汚染を受けた農地の改良はさらに困難だ。警戒区域など3区域に水田が計約1万ヘクタールある。一部は津波被害の水田と重なる。

 ナタネやヒマワリなど土中の放射性物質を吸収しやすい植物を植える案が浮上しているが、吸収の効果は限定的とする見方があり、放射性物質を蓄えた茎をどう処理するかという問題もある。農水省幹部は「比較的汚染度の低い土地は表層の土壌を取り除くことになるだろう」と話す。(大谷聡)
by nsmrsts024 | 2011-04-27 04:45 | 朝日新聞・綜合、政治

千年に一度の巨大津波と原発事故による核災害


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