2017年5 月22 日(水):対話を意識、条件つり上げ狙いか 北朝鮮ミサイル発射
2017年 05月 22日
北朝鮮が、14日に続いて2週連続で弾道ミサイルを発射した。韓国の専門家は、米国や韓国との対話を意識して交渉条件をつり上げる狙いだと分析。同時に、弾道ミサイルの脅威は確実に高まっており、安倍晋三首相は主要国首脳会議(G7サミット)で主な議題とする考えを示した。
北朝鮮が弾道ミサイル発射 中距離の新型か
特集:北朝鮮のミサイル
北朝鮮が14日に続き、21日も弾道ミサイルを発射した。軍事関係筋によれば、21日の発射地点では別の移動発射台も確認されており、更に弾道ミサイルを発射する可能性がある。6月には米空母2隻の日本海派遣や米韓首脳会談も控えており、北朝鮮の動きが慌ただしくなってきた。
陸上発射型弾道ミサイルの場合、北朝鮮は明け方に多く発射してきた。敵の防衛力の弱い時間帯を狙うと同時に、ミサイルの観測も行う狙いがあったとみられる。3月末からは、ほぼ2週間間隔で発射を続けていたが、21日の発射は、こうした「セオリー」を無視した格好になった。
韓国の千英宇(チョンヨンウ)・元大統領府外交安保首席秘書官は「米朝協議に臨む前に、新型弾道ミサイルの能力を確実にしておきたいのだろう」と語る。別の韓国政府元高官は、南北対話も念頭に置いた行動との見方を示した。
先週訪米した文在寅(ムンジェイン)韓国大統領の特使団によれば、ティラーソン米国務長官は、北朝鮮の体制変換や崩壊を求めない考えを表明。北朝鮮が核廃棄の考えを示し、核実験と弾道ミサイル発射を中止すれば対話に臨むとして、「北朝鮮は米国を一度信じるべきだ」と語ったという。
ただ、6月ごろには日本海に米原子力空母2隻が同時に派遣される見通し。北朝鮮の労働新聞(電子版)は20日付で「無謀な軍事的挑発だ」と非難した。緊張が更に高まり、不測の事態が起きる可能性を懸念する声も出ている。(ソウル=牧野愛博)
【北ミサイル】稲田朋美防衛相「特異な高度ではなかった。詳細を分析中」 臨時記者会見全文
稲田朋美防衛相は21日夜、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて臨時の記者会見を開いた。稲田氏の発言全文は以下の通り。
◇
「北朝鮮は本日午後4時59分ごろ、北朝鮮の北倉(プクチャン)付近から1発の弾道ミサイルを東方向に発射したもようだ。約500キロ飛翔(ひしょう)し、北朝鮮東岸から東に約350キロの日本海上に落下したと推定される」
「落下したのはわが国の排他的経済水域(EEZ)外と推定されている。詳細は現在分析中だが、わが国および地域の安全保障に対する明らかな挑発行為であり、断じて許すことはできない」
今回北朝鮮が発射した弾道ミサイルの種類については、所要の情報を基に総合的、専門的な分析を慎重に行う必要がある。高度についても詳細は分析中だが、1千キロを超えるような特異な高度ではなかったと認識している」
「今回の発射の意図、目的について断定的にお答えすることは差し控える。なお、付近を航行する航空機や船舶への被害報告などの情報は確認されていない」
「今回の発射を受け、私から引き続き情報収集と警戒監視に万全を期せとの指示を出した。その後、関係幹部会議を開催し、私は国家安全保障会議(NSC)4大臣会合に出席し、情報の集約および対応について協議するなど、対応に万全を期している」
「防衛省、自衛隊としては引き続き、米国、韓国とも緊密に連携し、重大な関心をもって情報の収集・分析に努め、わが国の平和と安全に万全を期す所存だ」
--米国、韓国はミサイルは「北極星2号」だとの見方だ
「断定的にはお答えしない。分析中だ」
--高い角度で打ち上げて飛距離を抑える「ロフテッド軌道」か
「1000キロを超えるような特異な高度ではないということだ」
--落下地点は
「男鹿半島から約700キロ、隠岐諸島から約400キロだと認識している」
--午後に発射したことについての考えは
「さまざまな情報をもとに、意図について分析している」
--着弾前に2つに割れたとの報道がある
「その報道も承知している。さまざまな情報を基に、専門的に詳細を分析しているということだ」
【北ミサイル】「トランプ政権は軍事行動に出ず」米韓を侮る北 韓国・文政権は格好の“防波堤”
【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権がまたも弾道ミサイルを発射した。トランプ米政権の圧力に屈せず、核・ミサイル開発に邁進(まいしん)する姿勢を行動で示した形だ。飛距離を制限したミサイルの試射では、トランプ政権が軍事行動に出ることはない-との一種の“侮り”も浮かぶ。
今回のミサイル発射は、米軍横須賀基地を拠点とする原子力空母ロナルド・レーガンが朝鮮半島付近に向かっていると報じられる中で強行された。
既に朝鮮半島付近に展開中の別の空母カール・ビンソンと合流し、合同演習を行うとも伝えられ、この間、2つの空母打撃群が北朝鮮ににらみを利かせることになる。トランプ政権にとっては、この上ない対北抑止となるはずだった。
北朝鮮メディアは、米空母の展開に繰り返し強い反発を示してきた。ここでミサイル発射を押しとどめれば、圧力に屈したとの印象を与えかねない。逆にこのタイミングで発射すれば、国威発揚につなげられる。
北朝鮮高官らは、海外メディアに「最高首脳部が判断すれば、毎週でも発射できる」と強調してきたが、それを“有言実行”した形だ。ちょうど1週間前の14日には、中長距離弾道ミサイル「火星12」を高度2千キロ超にまで発射していた。
北朝鮮との「対話」に意欲を示す文在寅(ムン・ジェイン)政権が韓国に誕生したことも大きい。
文大統領は、火星12の発射を強く非難しながらも「北との対話の可能性を開いているが…」とわざわざ対話に含みを持たせた。「圧力」や「制裁」を打ち出すこともなかった。米国に特使を派遣し、トランプ氏から「条件が整えば、平和の醸成に関与する意向がある」との文言を引き出している。対北包容政策を貫いた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権同様、米国の圧力に対する“防波堤”になってくれると、金正恩政権が期待をかけても不自然ではない。
北東部の豊渓里(プンゲリ)の核実験場でも「いつでも6回目の核実験が行える状態を維持している」(韓国政府関係者)という。ただ、核実験をすれば、中国も原油の輸出停止を含む強硬措置に出るとみられ、核実験に踏み切るかがターニングポイントとなるとみられる。
一方で、弾道ミサイル発射に対し、国際社会が従前通りの対応にとどまっていれば、北朝鮮が発射実験を繰り返し、米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)完成に向け技術を高めるだけなのも確かだ。
3.11東日本大震災 津波 418
北朝鮮が弾道ミサイル発射 中距離の新型か
特集:北朝鮮のミサイル
北朝鮮が14日に続き、21日も弾道ミサイルを発射した。軍事関係筋によれば、21日の発射地点では別の移動発射台も確認されており、更に弾道ミサイルを発射する可能性がある。6月には米空母2隻の日本海派遣や米韓首脳会談も控えており、北朝鮮の動きが慌ただしくなってきた。
陸上発射型弾道ミサイルの場合、北朝鮮は明け方に多く発射してきた。敵の防衛力の弱い時間帯を狙うと同時に、ミサイルの観測も行う狙いがあったとみられる。3月末からは、ほぼ2週間間隔で発射を続けていたが、21日の発射は、こうした「セオリー」を無視した格好になった。
韓国の千英宇(チョンヨンウ)・元大統領府外交安保首席秘書官は「米朝協議に臨む前に、新型弾道ミサイルの能力を確実にしておきたいのだろう」と語る。別の韓国政府元高官は、南北対話も念頭に置いた行動との見方を示した。
先週訪米した文在寅(ムンジェイン)韓国大統領の特使団によれば、ティラーソン米国務長官は、北朝鮮の体制変換や崩壊を求めない考えを表明。北朝鮮が核廃棄の考えを示し、核実験と弾道ミサイル発射を中止すれば対話に臨むとして、「北朝鮮は米国を一度信じるべきだ」と語ったという。
ただ、6月ごろには日本海に米原子力空母2隻が同時に派遣される見通し。北朝鮮の労働新聞(電子版)は20日付で「無謀な軍事的挑発だ」と非難した。緊張が更に高まり、不測の事態が起きる可能性を懸念する声も出ている。(ソウル=牧野愛博)
【北ミサイル】稲田朋美防衛相「特異な高度ではなかった。詳細を分析中」 臨時記者会見全文
稲田朋美防衛相は21日夜、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて臨時の記者会見を開いた。稲田氏の発言全文は以下の通り。
◇
「北朝鮮は本日午後4時59分ごろ、北朝鮮の北倉(プクチャン)付近から1発の弾道ミサイルを東方向に発射したもようだ。約500キロ飛翔(ひしょう)し、北朝鮮東岸から東に約350キロの日本海上に落下したと推定される」
「落下したのはわが国の排他的経済水域(EEZ)外と推定されている。詳細は現在分析中だが、わが国および地域の安全保障に対する明らかな挑発行為であり、断じて許すことはできない」
今回北朝鮮が発射した弾道ミサイルの種類については、所要の情報を基に総合的、専門的な分析を慎重に行う必要がある。高度についても詳細は分析中だが、1千キロを超えるような特異な高度ではなかったと認識している」
「今回の発射の意図、目的について断定的にお答えすることは差し控える。なお、付近を航行する航空機や船舶への被害報告などの情報は確認されていない」
「今回の発射を受け、私から引き続き情報収集と警戒監視に万全を期せとの指示を出した。その後、関係幹部会議を開催し、私は国家安全保障会議(NSC)4大臣会合に出席し、情報の集約および対応について協議するなど、対応に万全を期している」
「防衛省、自衛隊としては引き続き、米国、韓国とも緊密に連携し、重大な関心をもって情報の収集・分析に努め、わが国の平和と安全に万全を期す所存だ」
--米国、韓国はミサイルは「北極星2号」だとの見方だ
「断定的にはお答えしない。分析中だ」
--高い角度で打ち上げて飛距離を抑える「ロフテッド軌道」か
「1000キロを超えるような特異な高度ではないということだ」
--落下地点は
「男鹿半島から約700キロ、隠岐諸島から約400キロだと認識している」
--午後に発射したことについての考えは
「さまざまな情報をもとに、意図について分析している」
--着弾前に2つに割れたとの報道がある
「その報道も承知している。さまざまな情報を基に、専門的に詳細を分析しているということだ」
【北ミサイル】「トランプ政権は軍事行動に出ず」米韓を侮る北 韓国・文政権は格好の“防波堤”
【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権がまたも弾道ミサイルを発射した。トランプ米政権の圧力に屈せず、核・ミサイル開発に邁進(まいしん)する姿勢を行動で示した形だ。飛距離を制限したミサイルの試射では、トランプ政権が軍事行動に出ることはない-との一種の“侮り”も浮かぶ。
今回のミサイル発射は、米軍横須賀基地を拠点とする原子力空母ロナルド・レーガンが朝鮮半島付近に向かっていると報じられる中で強行された。
既に朝鮮半島付近に展開中の別の空母カール・ビンソンと合流し、合同演習を行うとも伝えられ、この間、2つの空母打撃群が北朝鮮ににらみを利かせることになる。トランプ政権にとっては、この上ない対北抑止となるはずだった。
北朝鮮メディアは、米空母の展開に繰り返し強い反発を示してきた。ここでミサイル発射を押しとどめれば、圧力に屈したとの印象を与えかねない。逆にこのタイミングで発射すれば、国威発揚につなげられる。
北朝鮮高官らは、海外メディアに「最高首脳部が判断すれば、毎週でも発射できる」と強調してきたが、それを“有言実行”した形だ。ちょうど1週間前の14日には、中長距離弾道ミサイル「火星12」を高度2千キロ超にまで発射していた。
北朝鮮との「対話」に意欲を示す文在寅(ムン・ジェイン)政権が韓国に誕生したことも大きい。
文大統領は、火星12の発射を強く非難しながらも「北との対話の可能性を開いているが…」とわざわざ対話に含みを持たせた。「圧力」や「制裁」を打ち出すこともなかった。米国に特使を派遣し、トランプ氏から「条件が整えば、平和の醸成に関与する意向がある」との文言を引き出している。対北包容政策を貫いた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権同様、米国の圧力に対する“防波堤”になってくれると、金正恩政権が期待をかけても不自然ではない。
北東部の豊渓里(プンゲリ)の核実験場でも「いつでも6回目の核実験が行える状態を維持している」(韓国政府関係者)という。ただ、核実験をすれば、中国も原油の輸出停止を含む強硬措置に出るとみられ、核実験に踏み切るかがターニングポイントとなるとみられる。
一方で、弾道ミサイル発射に対し、国際社会が従前通りの対応にとどまっていれば、北朝鮮が発射実験を繰り返し、米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)完成に向け技術を高めるだけなのも確かだ。
3.11東日本大震災 津波 418
by nsmrsts024
| 2017-05-22 05:47
| 朝日新聞・綜合、政治