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3月8日(金)・・・揺らぐ「温室ガス25%減」 原発事故で達成困難に

東京電力の福島第一原発事故を受け、「2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する」という政府目標が揺らいでいる。二酸化炭素(CO2)を排出しない原発に依存した温暖化対策が難しくなったためだ。一方、民主党内で7日、再生可能エネルギー推進チームの発足が決まるなど見直しに慎重な声もあり、目標が全面見直しに進むかは不透明だ。

 バンコクで3日から開かれている地球温暖化対策の国連会議。各国は自国の削減目標を、いかに達成するかをアピールした。しかし、日本政府代表は「地震が温暖化政策に与える影響を見極めるのは時期尚早」と述べるにとどめ、25%目標には触れずに終わった。南川秀樹・環境事務次官は記者団の取材に「25%も議論の対象になる」と見直しを示唆した。

 政府が目標に触れられなかったのは、これまで温暖化対策の切り札と位置づけてきた原発の新増設の見通しが立たなくなったためだ。昨年6月にまとめたエネルギー基本計画では、2020年までに原発9基を新増設し、稼働率を65.7%(09年度)から85%に高めることで、目標を達成できるとしていた。

 環境省の試算によると、基本計画がうまく進まず新増設が2基、稼働率が75%にとどまり、その分を火力発電所で代替した場合、25%削減に5.2ポイント届かなくなる。新増設がゼロで、福島第一原発6基を廃炉にした分を火力で補うと、目標を約8ポイント下回るという試算もある。「だれもがもう無理な目標だと分かっている」(経済産業省幹部)との声が漏れる。

 ただ政府・民主党内には、原発をすべて火力発電で代替することに抵抗感もある。

 昨年3月に小沢鋭仁環境相(当時)が25%削減に向けて打ち出した「中長期ロードマップ」では、エネルギー供給に占める太陽光や風力など再生可能エネルギーの割合を20年までに1割以上にするとしていた。
原発事故を受け小沢氏は「短期的には火力が必要だが、化石燃料への依存から脱却する時だ」として、割合を引き上げる必要性を強調。民主党環境部門会議は7日、再生可能エネルギー推進ワーキングチームを置いて、普及策を検討することを決めた。菅直人首相も、被災地復興に向けてバイオマスによるエコタウン構想を打ち上げている。

 原発に頼らずに削減目標を達成するのは不可能なのか。環境NGO気候ネットワークは、原発に頼らずに25%削減する提言を09年秋にまとめている。運転開始から40年を過ぎた原発から順次廃止し、火力発電は石油や石炭よりもCO2排出量が少ない天然ガスを増やす。国内排出量取引などで化石燃料を抑え、再生可能エネルギーを普及させる。

 平田仁子東京事務所長は「25%削減目標は、温暖化で起きる大災害を防ごうと政治主導で決まったもの。原発がなくても、達成する方法はいくつもある」と訴える。

 風力による発電コストは火力に肩を並べるほどになってきているものの、普及には課題も多い。政府・民主党はエネルギー需給や国民の議論を見ながら、目標の見直しについて見極める方針だ。(山口智久、バンコク=古田大輔)
by nsmrsts024 | 2011-04-08 05:51 | 朝日新聞・綜合、政治

千年に一度の巨大津波と原発事故による核災害


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