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4月16日(土)・・・東京駅の屋根材も津波被害 スレート、石巻で補修中に

宮城県石巻市の文化財修理業者が保管していた東京駅・赤れんが駅舎の黒い石でできた屋根材「天然スレート」約6万5千枚が、津波で流される被害に遭った。戦後から使われてきた良質の宮城県産で、業者は4万5千枚を回収したが、JR東日本側は再使用できるか二の足を踏んでいる。文化財の保護を求める市民団体は15日、JR側に再考を求める要望書を提出して支援に乗り出した。

 スレートは硯(すずり)に使われる粘板岩を薄い板に加工したもの。明治以降の西洋建築に多く使われ、東京駅の他は北海道庁旧本庁舎や京都府庁旧本館の屋根材などに使われている。宮城県登米市や石巻市雄勝(おがつ)町が産地で、特に雄勝町は硯の生産でも600年の歴史がある。戦後に東京駅の屋根を修復する際に、両地方の石材が採用された。「雄勝天然スレート」の役員四倉年思也(としなり)さん(63)によると、スレートは「1平方メートルで材料だけで1万5千円。瓦の4~5倍程度の値段」という。

 東京駅は2003年に国の重要文化財に指定された。現在は、戦前のドーム形の建物に復元する工事が、12年の完成を目指して進んでいるが、震災の影響を受けて、遅れが出る可能性もあるという。

 この中で、スレートの補修を任されたのが、地元・石巻市北上町の「熊谷産業」だった。

 同社は09年5月以降、縦30センチ、横18センチのスレート計約20万枚を駅舎から外して石巻に持ち帰った。1枚ずつ割れ目などを調べ、使用可能な約13万枚の汚れをたわしで落とした。作業が終わったものから納品し、今年7月に残りの約6万5千枚を東京に持って行く予定だった。

 しかし、3月11日の津波で保管倉庫が流され、壊滅的な被害を受けた。熊谷秋雄社長(46)は社員と家族約10人で、2週間かけて4万5千枚を集めた。「日本を代表する建物。自分たちの片づけを後回しにしてやった」
熊谷さんは元請けの共同企業体に「4万5千枚を回収した」と報告したが、「塩害もあると思うのでスペイン産に発注を決めた」と告げられたという。熊谷さんは「時間はかかるかもしれないが、経験上、洗い落とせば問題なく使えるはずだ」と話す。JR東日本は「現地に社員を派遣し、被災状況を確認している」という。

 東京駅にスレートが使われていることは、地元の誇りだった。事情を知った「赤レンガの東京駅を愛する市民の会」(東京)は15日、東京のJR東日本本社に要望書を持参し、「文化財修復では、建築の遺伝子を持つ当初の材料を尊重するのが原則だ」と訴えた。

 熊谷さんは「東京駅の屋根に東北大震災の津波に耐えたスレートを再び使ってもらえれば、復興のシンボルになるのですが……」と話している。(一色涼)
by nsmrsts024 | 2011-04-16 17:07 | 朝日新聞・綜合、政治

千年に一度の巨大津波と原発事故による核災害


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