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4月17日(日)・・・電力債、各社4月発行ゼロへ 原発で信用揺らぎ金利上昇

東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、電力各社が社債(電力債)を発行できずにいる。東電だけでなく原発を持つほかの電力会社の信用も揺らぎ、金利が上昇しているためだ。4月の電力債の発行は、4年4カ月ぶりにゼロとなる見通しで、混乱が長引けば各社の資金繰りが悪化しかねない。

 社債は、事業会社が金融市場から直接資金調達するために発行する債券。電力会社は例年の4月だと上旬に発行することが多いが、いまは「動きがない状態」(市場関係者)だ。金融情報サービス会社のアイ・エヌ情報センターによると、このまま電力債の発行がなければ、2006年12月以来の事態となる。

 電力10社の電力債発行残高は約13.1兆円。社債市場全体の約2割を占める。とくに東電債は約4.8兆円の残高があり、売買も多いために社債市場の「指標銘柄」とされてきた。

 社債は国債利回りに上乗せする金利が、取引の指標となる。電気料金から安定した収入が見込める東電債は、国債に近い信用があり、上乗せ金利は市場でも最低水準だった。

 発行された社債は、証券会社の店頭(流通市場)で売買され、金利(価格)が上下する。事故以降、東電債の上乗せ金利は急上昇(価格は下落)。直近では事故前の23倍、2.56%幅に高まった。売買はほとんど成立せず、新規発行ができない状態だ。

 金利は、ほかの電力債も上昇している。津波による原発事故は、どの電力会社でも起きうる。自治体は停止した原発の再起動に慎重だ。電力各社は津波対策を求められており、そのための巨額投資で業績が悪化するとの見方が、金利上昇の背景にある。

 数兆円ともみられる東電の賠償金の一部を業界全体で負担するという観測も、金利の押し上げ要因。「電力各社に大きな負担となり、格付けが下がる可能性がある」(アナリスト)。
東電は毎年5千億円にのぼる社債償還などに備え、事故後に金融機関から2兆円の緊急融資を受けた。ほかの電力各社も社債を発行せずとも、銀行借り入れで資金調達できるが、調達コストは社債より高くつく。

 東日本大震災後、東電債の上乗せ金利上昇を受け、社債市場全体が低迷した。ようやく大手銀行が発行を始め、事業会社にも動きが出てきたが、依然、東電の賠償問題が影を落とす。市場では「政府の東電処理方針が固まるまでは、本格的な発行は難しい」(アナリスト)との見方が強い。(前地昌道)
by nsmrsts024 | 2011-04-17 07:49 | 朝日新聞・綜合、政治

千年に一度の巨大津波と原発事故による核災害


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