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【日本の3.11から世界は】・・6月19日(日)・・方言聖書、津波に耐えた 「ケセン語版」海外からも注文

津波にのみこまれた岩手県大船渡市の出版社の倉庫から、水につかった3千冊の聖書が見つかった。泥を払い、かわかして販売したところ、「大津波に耐えた聖書」として注文が相次いでいる。聖書は、地域の出版文化の復興を目指す人たちの心も支えている。

 カトリック信者で大船渡市の内科医、山浦玄嗣(はるつぐ)さん(71)が、三陸沿岸南部の気仙地方の方言を「ケセン語」と名付け、新約聖書を訳したのが始まり。地元で自費出版などを請け負う出版社「イー・ピックス」が、「ルカによる福音書」など計4巻を9年前から刊行している。

 「神様んすぅ、神様んすぅ、なしておれぁどごぉ見捨てやりぁしたれ?」(わたしの神よ、わたしの神よ、なぜわたしをお見捨てになるのか?)

 震災後、変わり果てた街を見たとき、山浦さんは自らが訳した聖書の一節が頭に浮かんだ。病院も浸水し、患者に満足に薬を渡せない状況が1カ月続いた。

 山浦さんが4年がかりで訳した聖書も大半が水につかった。イー社の倉庫は津波で天井が落ち、大半の本が水につかった。同社代表熊谷雅也さん(58)は震災から3日後、聖書が入った段ボール数箱を見つけ、高台にある自宅に持ち帰った。庭にすのこを敷いて天日干しし、汚れがひどくないものを仕分けした。

 熊谷さんは4月、プレハブで社員3人と営業を再開した。定価で売るのに抵抗はあったが、交流のあった三浦綾子記念文学館(北海道旭川市)財団副理事長の工藤正広さんが「貴重な聖書。記念館で定価で販売させて」と申し出てくれた。

 こうした動きがインターネットなどで広まった。ここ数年、年間300~400冊で推移していたのが5月以降、信者を中心に620冊が売れた。

 郵送で取り寄せた東京都目黒区の高瀬瑞枝さん(70)は「手元に届いたとき、まだ少ししめっていた。被災した本を手にして津波がどういうものだったのか感じた」と話す。宮城県の女性は車で5時間かけて買いにきた。米国・デトロイトの日本人牧師からは120冊の注文があった。

 震災後、従業員の給料を払うめどがたたず、「どうしたらいいかわからなかった」と熊谷さんは振り返る。聖書の販売をきっかけに少しずつ再建の兆しが見えてきた。

 聖書はB5判、朗読CD付きで5880~6090円(税込み)。問い合わせはイー・ピックス(080・6003・4319)。(国吉美香)
by nsmrsts024 | 2011-06-19 06:22 | 朝日新聞・綜合、政治

千年に一度の巨大津波と原発事故による核災害


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