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2016年7月19(火)・東日本大震災から5年4ヶ月と8日

3.11 東日本大震災と福島第一原発爆発事故から5年と4ヶ月
1000年に一度の巨大津波と66年後にまた人が起こした核災害の記録
(東日本大震災と放射能災難から直後の1年間を顧みる)
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3.11東日本大震災      津波 242

2011年4月9日(土)・自衛隊、2回目の集中捜索へ 10日、東北3県で
防衛省は9日、東日本大震災で多くの行方不明者が出ている岩手、宮城、福島の3県で、大規模な部隊を投入した集中捜索を10日に実施すると発表した。集中捜索は、今月1~3日に次いで2回目。

 警察庁のまとめによると、9日午後3時現在、3県で1万4820人が行方不明となっている。

 防衛省によると、10日午前8時から、日没まで、陸海空3自衛隊で要員21900人、航空機約90機、艦艇約50隻が参加する。米軍からも要員約100人、航空機2機が参加する。




[2016年、世界と日本・今日この頃]

[2016年7月19日]
日本の“改憲勢力”台頭で中国社会が無秩序化する?
参院選で改憲勢力が3分の2以上に中国共産党の宣伝工作に透ける焦り

「7月10日午前、日本で参議院選挙の投票が始まった。参議院における半分、すなわち121議席の帰属が確定される。自民党、公明党をはじめとする改憲勢力が参議院で3分の2以上の議席を獲得できるか否かが今回選挙の焦点となる」

 7月10日、中国の国営新華社通信は自由民主党本部の写真付きでこのような記事を配信した。中国共産党のマウスピースと呼ばれる宣伝機関である新華社がどんな内容を、どんな視角から、どのタイミングで配信するかを追っていけば、共産党指導部がいま何を考えているのか、これから何をしようとしているのかがある程度は解読できる。

 今回に限って言えば、冒頭の記事が示しているように、中国共産党指導部は、日本の参院選を“改憲勢力”が3分の2以上の議席を獲得するかの一点に絞ってウォッチしていたように見える。2日後には、オランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所が南シナ海問題における判決を下すタイミングだっただけに、中国国内世論はそちらのほうにより多くの宣伝・報道資源を費やしていた。しかしそれでも、日本が憲法を改正するか否かという問題は、中国共産党にとっては南シナ海問題と同様に、政権の権威性や安定性に関わる重大テーマである。

 新華社が明確なスタンスとイデオロギーの下、宣伝工作を行っているように私には映った。

 参院選の結果は読者諸氏もご承知の通り、いわゆる“改憲勢力”が3分の2以上の議席を占めることになったという報道が、日本国内ではなされている。新華社も得票数や投票率などを含め、選挙結果の詳細を余すことなく報じていた。ここでは、中国共産党がどのような意図と立場を持っているかをうかがう上で有益と思われる新華社の記事(7月11日付『改憲勢力の勝利は日本の幸いでは決してない』)をレビューしてみたい(記事引用は省略あり)。

「改憲勢力が勝った危害は明らかである。今回の選挙を通じて、改憲勢力は間違いなく改憲プロセスを加速させるだろう。そして、安倍総理が発議をかけ、国会で通過すればそこからは国民投票の段階に入る。そうなれば、日本の根幹と未来を決定する平和憲法が書き換えられる可能性が出てくる。日本が戦後70年間守ってきた平和憲法が消えてなくなる可能性が高くなるのだ」

「安倍総理がどんなレトリックを使い、どんな手段で企みを隠したとしても、憲法第9条を改正することの実質は戦後平和憲法の束縛を脱却し、日本が一歩一歩昔の軍国主義の道へと進むことにほかならないのである」

「平和憲法は1947年の施行以来日本社会に根付き、広範な日本国民の意思を代表してきた。改憲の企みは多くの日本国民の疑問と抗議に遭っている。しかし、安倍政権は改憲で戦後レジームの脱却という目的を達成するために、これまで時間をかけて策を練ってきた。そして今回の選挙でも欺瞞的な手段によって選挙に勝つことを惜しまなかった。現在、改憲勢力は国会で多数の優勢を得たことによって、改憲という目的の実現を堂々と推し進めることが可能になった。安倍総理がこのやり方を使ったのは今回が初めてではない。《特定秘密保護法》のとき、安保法案を強制的に通過させたときも同様であった」

「安倍氏が総理に就任して以来、日本の侵略戦争の歴史を認めず、靖国神社に参拝し、集団的自衛権の行使を解禁し、安保法案を強制的に通すなど一連の右翼的な行動を取ってきた。国際社会で高度の警戒と懸念を生じさせた。禍根はすでに埋まっている。日本にとって、一旦平和憲法という守護神を失えば、戦争の道へと滑り落ちることは避けられないだろう。国際社会にとって言えば、“戦争を行える普通の国家”へと戻った日本が再び戦争発動者という前科を踏むのか否かは誰にも断言できない状況を意味しているということである」

「以上から、改憲勢力が勝利したという事実は、いま現在、そして将来を含めて、日本という国家の幸いを意味するものでは決してないと言える」

どんなことがあっても「反日」を放棄できない根源的な理由

 中国共産党体制としてこの記事に体現されているような反応を示すことは、全くもって想定の範囲内であった。これまでも、歴史問題や安全保障問題で、日本の総理や政府が中国共産党の党益に符合しない政策や行動を取るたびに、党指導部は自らのマウスピースである新華社を始めとした宣伝機関に“日本軍国主義の復活”というロジックで世論工作をさせてきた。その背景には、中国共産党が中華人民共和国建国以来、社会全域・国民全体に対してトップダウン型で施してきたいわゆる“愛国主義教育”が横たわっている。

 同教育のなかでは、中国共産党は日本軍国主義者に勝利し、国民党との内戦に競り勝ち、その結果として新中国を建国したというロジックが貫徹されている。中国共産党が日本社会で広範に議論・批評されるいわゆる“反日教育”に執着し、どんなことがあってもそれを放棄できない根源的な理由がこのロジックの中に見いだせる。

“反日”を放棄すること、それはすなわち建国のロジックを否定することにつながる。と同時に、中国共産党が中国大陸を統治してきた正統性そのものを揺るがしかねない事態に陥ることになるのである。したがって、中国共産党にとって、程度の差はどうであれ“反日”を止める可能性は論理的に存在しない。

 そして、中国社会にとって、論理はすなわち政治を意味する。

 我々日本人が、中国当局にいわゆる“反日教育”を止めるべきだという要求を安易にしていくことが限りなく幻想に近い背景がここにある。もっとも、すべての中国国民が共産党の“愛国教育”に賛同しているわけではない。自国の政府や政策を客観的に見て、批判的に分析する人間も少なくないと私は理解している。日本社会としては、そんな独立思考を持ったチャイニーズシティズンとの相互対話・理解を促進すべく、民間交流を多角的に推し進めていくべきであろう。長期戦に備えた先行投資を大胆不敵に行使すべきだと私は考える。

 ここまで書いてきて今さらかもしれないが、そもそもなぜ中国政治、特に中国が何らかの形で民主化するか否かを議論・検証することを主旨とする本連載で、中国共産党が日本の参院選をどう評価しているかというテーマを扱わなければならないのか。両者の間に何らかの相関性があるというのか。

 大ありである。

 ここからは、日本の参院選が中国共産党政治の盛衰にどのような影響を及ぼし得るのかを考えていきたい。

日本の「軍国主義復活」を導き出さざるを得ない理由

 キーワードはやはり“改憲勢力”である。前述の原因・背景から、中国共産党としては、大衆迎合主義、論理的整合性、および政治的正確性という観点から、「日本の国会で改憲勢力が過半数を占めた」という事実をもって、「日本軍国主義が復活する」という論理を導き出さざるを得ない。

“導き出さざるを得ない”という文脈がポイントである。

 中国当局としては、共産党の正統性を死守するという国内政治的な需要からそうせざるを得ない。一方で、国際政治の舞台において、中国がその需要を満たすためだけの外交を展開することは非現実的であり、共産党とてそれは十二分に理解している。本連載でも適宜指摘してきたように、日本との関係を安定的にマネージすることは、中国経済、対米関係、地域協力といった観点からも共産党にとって充分なインセンティブをもたらすものである。

 ましてや、国連常任理事国である中国は今となっては世界第二の経済大国であり、“大国としての責任”をいかに果たしていくかは切実な国益でもある。日本との関係を上手に管理できない中国、政治問題がなにかと経済関係を束縛する中国、といったイメージが国際社会で蔓延してしまうことは、中国の国益に符合しないと言える。

 余談になるが、私自身は、いま中国に最も求められている能力は“持続可能な信用を健全に勝ち取る力”だと考えている。

 話を戻すと、だからこそ習近平総書記、李克強首相は安倍晋三首相の歴史認識、安全保障政策などに不満を持ちつつも、断続的に会談に応じ、政治関係の安定的管理に努めてきたのである。

国内政治と国際政治の狭間で揺れ動く中国のジレンマ

 そんな共産党指導部が、今回の参院選を受けて政治的に内心最も懸念していることは何か。

 それは、「改憲勢力の前進」とそれがもたらす「軍国主義復活の危険性」を根拠に“反日”を煽らざるを得ない国内政治に立脚した需要と、21世紀のグローバリゼーション時代において経済・外交的な利益を保証しなければならない国際政治に立脚した需要の間に存在するジレンマと関係している。中国共産党の対日外交は、両者のあいだで振り子のように揺れ続けざるを得ない運命にあるのだ。

 前者が行き過ぎれば後者が行き詰まる。後者が行き過ぎれば前者が暴走する。

 今回の参院選に関して言えば、中国が、特に安倍政権の残りの任期の間、継続的に日本の改憲に対する警戒と批判を煽り続けるのは必至である。その過程で、いわゆる“愛国主義教育”によって潜在的に、マグマのごとく蓄積されてきた“反日感情”が水面上に出てくる可能性が高くなる。そんな国内世論の下、共産党指導部が日本との関係を前進させようとしたり、日本の政策を評価したりする言動を取れば、人民は当局に対して反発的になる。

「平和憲法を改正し、軍国主義を復活させようとしている輩となぜ仲良くするのか?」と。

 この過程で、“反日”が引き金となる形で当局と人民の関係が緊迫化し、人民が当局に反発すべく“愛国無罪”を掲げて暴徒化し、両者が対立する過程で、内戦を彷彿させるような武力衝突が起こり、結果的に社会が不安定化・無秩序化していくこと。これが、日本の参院選が中国共産党政治の盛衰にもたらし得る最大級の潜在的リスクだと私は考えている。

 ただ、現段階でこのリスクが顕在化する可能性は低そうである。

 参院選直後の7月⒒日に中国外交部が開いた定例記者会見において、陸慷報道官は記者からの質問に答える形で次のようにコメントしている。

「本来、日本国内の参議院選挙は日本自身の内政であるが、皆が周知の原因によって、中国を含めた国際社会、特にアジア地域の関連国家は現在日本国内で起こっているいくつかの政治動向に懸念を抱いている。これは完全に理解できることだ。緊張する問題は存在しない。しかし、日本が歴史的にアジア人民に対して犯した深刻な罪の行為ゆえに、今日の日本が軍事・安全保障の分野で取る政策動向がアジア国家と国際社会の高度な懸念を受け続けるのである」

「我々はこれまでも幾度となく主張してきた。日本は歴史の教訓を切実に汲み取り、アジアの隣国や国際社会の安全保障的な懸念を重視すべきであると。我々は日本が平和的発展の道を堅持し、軍事・安全保障の分野で慎重に行動し、地域の平和、安定、安全に資することを多くする日本を見たいと願っている」

 中国外交当局として安倍政権に対する警戒と牽制を露呈する内容ではあるが、前出の新華社記事と比べれば抑制の効いたものであることは容易に見て取れる。国際政治に立脚した需要に重心が置かれたパフォーマンスであり、中国が引き続き日本との関係を重視し、あらゆる機会を利用して日中関係を安定的にマネージしていこうという意思表示でもあるとも言える。

 実際に7月15日、参院選の後、南シナ海問題を巡ってフィリピンの主張を全面的に受け入れる、すなわち中国にとっては不利な判決が出た直後という微妙な時期、ASEM首脳会合に出席中の安倍総理と李首相が会談を実現させた。

 会談では、ダッカ襲撃テロ事件での日本人犠牲者及び南スーダンでの中国PKO要員の犠牲者に対し,互いに弔意の表明があった。テロ対策や世界経済を巡って日中が協力を強化していくこと、戦略的互恵関係の原点に立ち、日中関係を前進させていくことなどで意見と立場の一致をみた。安倍総理が、9月に中国・杭州で開催されるG20首脳会議を成功させるために日本として協力していきたいという意思を伝えれば、李首相からは、G20サミットに際して安倍総理が中国を訪問することを、心から歓迎したいという立場が伝えられた。

 この状況を見る限り、習近平・李克強政権が、改憲勢力の優勢が可視化された参院選後、国内で“反日”が高ぶらざるを得ない展望を前にしてもそれに故意に迎合して、あるいはそれを利用する形で日本との関係改善に後ろ向きになったり、“反日”をめぐって当局と人民が国内的に対立・衝突し、中国社会が不安定化したりするリスクは低いと言える。

 日中関係、および日本の対中政策という観点からすれば朗報であろう。

習近平体制は必ずしも安定せず対日重視が国内の無秩序化を招く?

 最後に、そんな朗報を可能にしている背景であるが、やはり習近平政権の権力基盤が相当程度強固になっていて、対外関係のなかでも政治的に最も敏感である対日関係を管理する上でも、大衆世論に迎合・遠慮することなく政策を展開できるようになった現状が挙げられる。

 もっとも、“強固”は必ずしも“安定”を意味しない。集団的指導体制を掲げる共産党政権において、習近平総書記1人に権力が集中しすぎることによって体制内部で不満や鬱憤が蓄積し、何らかの突発事件が引き金となって政権運営が行き詰まる、政権そのものが弱体化する、場合によってはクーデター的な動きが発生する、といった可能性は全くもって否定できない。

 そして、そんな引き金に日本、あるいは“反日”が加担してしまうことになる構造的矛盾を既存の体制は抱えている。中国共産党の対日政策が一筋縄にはいかないゆえんが、ここにも存在する。
by nsmrsts024 | 2016-07-19 05:20 | 朝日新聞・綜合、政治

千年に一度の巨大津波と原発事故による核災害


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