2018年7月28日(土 ):
2018年 07月 28日
西日本を横断すると予想される台風12号は週末にかけて、西日本豪雨の被災地を直撃する恐れがある。「もう降らないで」。復旧作業に追われる被災者からは27日、二次被害への不安の声が上がった。
多くの犠牲者を出した広島県呉市天応地区では、家屋や車が土砂に埋まったままの所も多く、住民らが自衛隊やボランティアなどの支援を受けながら復旧作業を続ける。
近くの川があふれ自宅1階が浸水した楠本みどりさん(71)は、ようやく土砂をかき出したばかり。台風に備えて家の前に土のうを置きながら、「まだ川底は浅いまま。もうあまり降らないで」と表情を曇らせた。埋まったバイクを掘り起こしていた20代男性は「(豪雨では)こんなことになると思っていなかった。台風には万全の備えをしたい」と気を引き締めた。
自宅が水に漬かった広島市安芸区中野の三戸和子さん(67)は「二次災害が心配。少し雨が降ると下水があふれそう。あまり降らないよう祈っている」と話した。
小田川と支流が決壊し、全域の3割近くが浸水した岡山県倉敷市真備町地区。支流の末政川では応急対策工事が続いており、県は土のうや盛り土で堤防を元の高さに近づける作業を急いだ。
決壊した堤防近くに自宅がある真備町有井の無職中江昌之さん(75)は「土のうが積んであるだけで、台風が来たら一発だ」といら立ちをあらわにした。自宅を片付けていた女性(64)も「家が傾いているので台風が来たら心配。災害ごみの撤去が進んでおらず、台風で巻き上げられたらと思うと恐ろしい」と不安そうだった。
倉敷市社会福祉協議会は28~30日の3日間、ボランティアの受け入れを休止する。先週の土日は計約3200人が集まったが、安全を考慮した。
台風、今夜にも上陸…東から西に列島横断か
強い台風12号は28日、八丈島付近を北上し、勢力を維持したまま早ければ同日夜にも上陸する見通しだ。東海から近畿に上陸し、西に進む異例の進路をとるとみられる。気象庁によると、日本列島を東から西に横断すれば、1951年の統計開始以来初めてとなる。
気象庁によると、台風は28日午前4時現在、八丈島の東南東約490キロを時速40キロで北へ進んでいる。中心気圧は965ヘクト・パスカル、中心付近の最大風速は40メートル。
台風の北上により、28日から29日にかけて、東日本と西日本の広い範囲で雷を伴った激しい雨が降る見込み。29日午前6時までに予想される24時間雨量は最大で関東、甲信、東海400ミリ、近畿250ミリ、東北、北陸、四国150ミリ、中国100ミリとなっている。
[2011.3.11 東日本大震災と福島第一原発爆発事故から7年と4ヶ月]