2018年8月25日(土):
2018年 08月 25日
皇室:大嘗祭「公費支出避けるべきでは」秋篠宮さまが懸念
来年5月に即位する新天皇が五穀豊穣(ほうじょう)を祈る皇室の行事「大嘗祭(だいじょうさい)」について、秋篠宮さまが「皇室祭祀(さいし)に公費を支出することは避けるべきではないか」との懸念を宮内庁幹部に伝えられていることが関係者への取材で判明した。大嘗祭は来年11月14日から15日にかけて皇居・東御苑での開催が想定されている。政府は来年度予算案に費用を盛り込む。
宗教色が強い大嘗祭に公費を支出することには、憲法で定める政教分離原則に反するとの指摘がある。政府は今年3月に決定した皇位継承の儀式に関する基本方針で、「宗教的性格を有することは否定できない」としながらも、「皇位が世襲であることに伴う重要儀式で公的性格がある」と位置付けた。費用は平成の代替わりの際と同様、皇室行事として公費である皇室の宮廷費から支出する。
平成の大嘗祭では、中心的な行事「大嘗宮(だいじょうきゅう)の儀」の祭場建設のための約14億円を含めて費用は総額約22億5000万円に上った。関係者によると、同程度の儀式を行った場合、物価の変動などを考慮すると、費用は大幅に増える可能性がある。
通常の皇室祭祀は、天皇、皇后両陛下と皇太子ご一家の私的生活費である内廷費で賄われる。これに対して、皇室の公的活動は宮廷費から支出される。政府は大嘗祭について宮廷費で予算措置を講じる方針だが、秋篠宮さまは宮内庁幹部に対して多額の宮廷費が使われることへの懸念を示したうえで「内廷費で挙行できる規模にできないだろうか」とも話しているという。今年度の内廷費は3億2400万円だった。
秋篠宮さまは、新天皇が即位すると、皇位継承順位第1位の皇嗣となる。同庁幹部は秋篠宮さまの懸念について、毎日新聞の取材に「承知していない」としている。
皇室祭祀などに詳しい宗教学者の島薗進・上智大学教授は「皇嗣となる方の素直な意見として歓迎したい。大嘗祭に公的な費用が使われることは、国の宗教的な活動を禁じる憲法20条に抵触する恐れがあり、本来好ましくない。政府は多様な意見を踏まえて、慎重に皇位継承儀式を進めてほしい」と話している。
【自民党総裁選】岸田文雄氏、石破氏批判鮮明に 9条2項削除の改憲論「違和感」 安倍首相3選サポートへ全国行脚で汗「宏池会政権への道」とも
自民党総裁選(9月7日告示-20日投開票)への出馬を見送った岸田文雄政調会長が24日、連続3選を目指す安倍晋三首相(党総裁)の支持を訴える全国行脚を始めた。自衛隊を明記する憲法9条改正案を示した首相の支持を明確にした一方、石破茂元幹事長が主張する戦力不保持を定めた9条2項の削除を批判した。石破氏との対立軸を鮮明にして首相側に岸田派(宏池会、48人)が加わる姿勢を強調し、「次の次」の総裁選への意欲も示した。(長嶋雅子)
「国益という観点から首相は今代えるべきではない」
岸田氏は24日、福岡市で開いた岸田派所属の古賀篤衆院議員の集会でこう語り、首相への支持を強く訴えた。岸田氏は7月24日、総裁選出馬見送りと首相支持を表明した。派内には3年後に想定される総裁選で首相から「禅譲」を求める意見と、今回の出馬を促す主戦論が交錯していたが、岸田氏は首相を支えることで「ポスト安倍」の位置を確実にする道を選んだ。
岸田氏は石破氏との一騎打ちとなる見通しの総裁選で圧勝を目指す首相のサポートに徹する考えだ。
首相は12日の長州「正論」懇話会で、9条2項を維持した自衛隊明記案を含む党の改憲案を秋の臨時国会に提出する意向を表明。2項削除論の石破氏が「あり得ない」と反発した。
「ハト派」と呼ばれる宏池会は伝統的に憲法改正には消極的で、岸田氏もこれまで積極的な発言は控えてきた。しかし、この日の講演では、首相の提案を「理解できる」と支持した一方、石破氏の9条2項削除論については「違和感を覚える」と否定し、スタンスの違いを鮮明にした。
石破氏が非核三原則の見直しを求めていることに対しても「被爆地(広島)出身の議員として非核三原則はしっかり維持する立場だ」と述べ、容認できないとの姿勢を強調した。
岸田氏には「出遅れ」を挽回したいとの思いもにじむ。岸田派が首相を支持する各派合同の選対準備会合に加わったのは今月3日。細田派(清和政策研究会、94人)や麻生派(志公会、59人)、二階派(志帥会、44人)は先に首相支持を決めていた。岸田派には「今さら遅い」(細田派幹部)との批判も上がり、一時は合同選対に入れない動きもあった。
岸田氏は「派内が一致団結して支持することが大事だ」と繰り返し岸田派議員に求め、自身も今後、広島や静岡、香川、大阪などを積極的に回る予定だ。そして講演では3年後の総裁選への意欲も示した。
岸田氏は首相と衆院初当選同期であることを紹介し、「多くの議員が自民党から出て行く中、歯を食いしばってがんばった思い出がある」と述べ、離党経験のある石破氏を牽制(けんせい)。安倍政権で長く外相を務めたことにも触れ「安倍政権をしっかり支えることは大切なことだ」と強調し、こう付け加えた。
「それが宏池会政権実現につながる道だと強く感じている。次の総裁選に向けてしっかりと歩みを進めていくことにつながると信じ、訴えていきたい
[2011.3.11 東日本大震災と福島第一原発爆発事故から7年と5ヶ月]