7月29日(土曜日)・・・小説、メタボラ
2006年 07月 29日
朝日新聞・朝刊・小説
[メタボラ] 作 桐野 夏生
画 水口 理恵子 238回
第六章 ガーブ川
見届け屋。ネットの死神。脳味噌が沸騰しそう
だった。僕は急に蘇った記憶の奔流に押し流され
そうになって、立っているのもやっとだった。
香月雄太。僕の名前。二十五歳、いや、八月で
二十六歳になったはず。八月七日生まれだから。
獅子座のB型。暗くなった道に街灯が点灯してい
くように、自分の周囲に次々と鮮やかな色が付着
していく。スイッチが入ったのだ。僕はよろめき
ながら、自分が変わっていくのを茫然と受け止め
ていた。かって、僕の世界はこういう姿をしてい
たのだ。やんばるでの彷徨、ミカ、専務、昭光と
の出会いと別れ。「磯村ギンジ」を形作っていた
ものが次々と崩壊していった。
・・・・・・・・・ネット自殺の生き残り人間の実像が、これからやっと見られそうだ。記憶喪失中の男が、普通の、普段の、日常の、生活環境に飛び込み自分に疑問を抱きながら生きてきている。・・・・読んでいる「小生」も気が、遠くなっていた。
大きな事件、出来事がなかった朝は先ず 小説 に目が行く。以前はいらいらしながら小説のページを探していたが、最近やっと分かった(恥ずかしいかな?)ことだが、新聞の一面に今日の小説の「ページ」が載っている。それ以来さっと開けるので嬉しい。
[メタボラ] 作 桐野 夏生
画 水口 理恵子 238回
第六章 ガーブ川
見届け屋。ネットの死神。脳味噌が沸騰しそう
だった。僕は急に蘇った記憶の奔流に押し流され
そうになって、立っているのもやっとだった。
香月雄太。僕の名前。二十五歳、いや、八月で
二十六歳になったはず。八月七日生まれだから。
獅子座のB型。暗くなった道に街灯が点灯してい
くように、自分の周囲に次々と鮮やかな色が付着
していく。スイッチが入ったのだ。僕はよろめき
ながら、自分が変わっていくのを茫然と受け止め
ていた。かって、僕の世界はこういう姿をしてい
たのだ。やんばるでの彷徨、ミカ、専務、昭光と
の出会いと別れ。「磯村ギンジ」を形作っていた
ものが次々と崩壊していった。
・・・・・・・・・ネット自殺の生き残り人間の実像が、これからやっと見られそうだ。記憶喪失中の男が、普通の、普段の、日常の、生活環境に飛び込み自分に疑問を抱きながら生きてきている。・・・・読んでいる「小生」も気が、遠くなっていた。
大きな事件、出来事がなかった朝は先ず 小説 に目が行く。以前はいらいらしながら小説のページを探していたが、最近やっと分かった(恥ずかしいかな?)ことだが、新聞の一面に今日の小説の「ページ」が載っている。それ以来さっと開けるので嬉しい。
by nsmrsts024
| 2006-07-29 06:25
| 朝日新聞・読書